2026年5月の記事一覧
日本顕微鏡学会「中高生によるポスター発表」に参加しました
5月25日(月)、仙台国際センター展示棟で開催された公益社団法人日本顕微鏡学会 第82回学術講演会「第3回 中高生によるポスター発表」に参加しました。
本校では、次世代放射光施設ナノテラスを活用し、桜の内部構造を非破壊で解析する研究を進めてきました。ナノテラスは、目に見えない物質の内部構造を詳しく調べることができることから、いわば「巨大な顕微鏡」ともいえる施設です。今回の発表では、ナノテラスで得られた内部構造解析の知見をもとに、老木化が進む桜を未来へつなぐための研究である「桜萌芽剤」および「桜萌芽システム」について発表しました。
桜萌芽システムは、独自に開発した桜萌芽剤と根への刺激処理を組み合わせ、既存木の根や株元から発生する「ひこばえ」を活用して、老木化した桜を次世代へつなぐことを目指す取り組みです。柴田町一目千本桜では、樹齢100年を超える桜が多く、河川堤防という場所柄、新たな植樹が難しい現状があります。そのため、伐採でも新植でもない第3の方法として、ひこばえを活用した桜の継承に取り組んでいます。
当日は、多くの研究者や大学関係者の皆様に発表を聞いていただき、ナノテラスでの観察結果、桜萌芽剤の考え方、根への刺激処理を組み合わせた桜萌芽システムの可能性について説明しました。発表後には、専門的な視点から多くのご質問やご助言をいただき、研究をさらに深める貴重な機会となりました。
ご指導・ご助言をいただいた日本顕微鏡学会の皆様をはじめとする関係の皆様に心より感謝申し上げます。今回の経験を今後の実証実験に生かし、桜萌芽システムの有効性や適用条件の解明に向けて、さらに探究を進めていきます。
地域と協力して守る桜の未来 ~柴田町での桜萌芽システム実施~
5月24日(日)、『日本さくら名所100選』にも選ばれている柴田町を訪れ、老木化した桜を未来へつなぐための活動を行いました。今回の活動は、柴田町さくらの会の皆様、柴田町民の皆様、柴田町役場の皆様とともに行いました。柴田町とはこれまで連携し、地域の桜を守る活動を継続してきました。今年度は、その研究をさらに発展させ、老木化が進む桜の新たな保全方法として、「ひこばえ(根や株元から発生する新芽)」に着目した「桜萌芽剤」を用いた桜萌芽システムを実施しました。
はじめに、桜の老木化や近年の環境変化による影響について説明を行いました。特に、ソメイヨシノの多くが樹齢100年を超えている現状では、倒木のリスクが高まる一方、河川法の制約により伐採後の再植樹が難しいという課題があります。そのため、「今ある桜から次の世代をつくる」という新たな視点での保全が求められています。当日は報道機関の皆様にも取材していただき、本校の取組を多くの方に知っていただく機会となりました。
その後、「桜萌芽剤」の仕組みと目的について説明し、実際に散水作業を行いました。桜萌芽剤は、二価鉄イオンと酢酸の働きにより、老木化した桜の根や株元に残された潜在的な生命力を引き出し、ひこばえの発生とその後の安定した生育を促すことを目的としています。二価鉄イオンは、根の活性化や新しい芽の形成に関与し、株元や根からのひこばえ発生を後押しします。一方、酢酸は植物が高温や乾燥などのストレスに耐える力を高める働きが期待され、発生したひこばえが夏場の高温や乾燥によって衰弱しにくくなり、生育を安定させます。萌芽剤は500倍に希釈し、桜の株元へ丁寧に散布しました。作業は地域の方々と協力して行われ、参加者からは桜の未来を願う声が多く聞かれました。
対象木への桜萌芽剤の散水は、ひこばえの発生とその後の生育を促すことを目指した取組の一つです。活動では、桜萌芽システムの内容について実演を交えながら紹介し、その後、対象となる老木の根元付近で実際に処理を行いました。生徒たちは、参加者の皆様や関係者の方々に見守られながら、一本一本の木の状態を確認し、丁寧に作業を進めました。
さらに、処理を行った木の根元では、新たに伸びてきたひこばえの様子も確認しました。今後は、こうした変化を継続して観察しながら、ひこばえの発生や生育の状況について調査を進めていきます。
地域の皆様とともに現地で活動したことで、生徒たちは研究が地域の桜を守る取組として実際に社会とつながっていることを改めて実感する一日となりました。これからも、地域の皆様との連携を大切にしながら、桜を未来へつなぐ活動を続けてまいります。
蔵王の自然を学ぶ「春を食べる会」に参加しました
5月3日(日)、NPO法人 蔵王のブナと水を守る会が主催する「春を食べる会」に参加しました。昨年度、本校が同会の荒浜海岸林の植林地において「桜色活力剤」を散布したことがきっかけとなり、今回、山での体験活動にお招きいただきました。
はじめに丸太小屋の中で、蔵王のブナと水を守る会の活動内容や、この日の流れについて説明を受けました。山菜採りでは、食べられる植物と似ている植物を見分ける必要があるため、採取の際の注意点についても丁寧に教えていただきました。
その後、ブナの記念植樹を行いました。生徒たちは、会の皆様から植え方を教えていただきながら、苗木の根元の土を整え、これから大きく育っていくことを願いながら作業に取り組みました。
植樹に合わせて、杭差しも行いました。苗木を守るための杭をしっかりと打ち込み、植えた木が今後も健やかに育つよう、一つ一つの作業を確認しながら進めました。
その後、周辺の森林を散策しながら、樹木や山の環境について教えていただきました。生徒たちは、木の種類や森の成り立ち、下草の様子などを観察しながら、自然環境が長い時間をかけて形づくられていることを学びました。
散策の途中では、実際にアナグマの穴を観察しました。普段の学校生活ではなかなか見ることのできない野生動物の生活の跡に、生徒たちは興味深そうに見入り、森林が多様な生き物のすみかになっていることを実感していました。
また、ツリーハウスも見学しました。自然の木を生かしてつくられた空間を見ながら、森の中で活動する楽しさや、自然と人との関わり方について考える機会となりました。
山菜採りでは、会の皆様に見分け方を教えていただきながら、春の山に育つ植物を観察・採取しました。
葉の形や香り、伸び方などを一つ一つ確認しながら、自然の中にある食材を探しました。
昼食では、採取した山菜を天ぷらやおひたしなどにしていただき、春の味覚を楽しみました。自分たちで採った山菜をその場で調理していただくことで、自然の恵みをより身近に感じることができました。
会の皆様と一緒に食卓を囲みながら、山菜の名前や食べ方、地域で受け継がれてきた知恵について話を聞きました。森林と食、そして人の暮らしが深くつながっていることを実感する時間となりました。
午後は、森林整備の一環として枝打ち作業を体験しました。枝打ちは、森を明るく保ち、木の成長を助けるために大切な作業です。作業の意味を教えていただいたうえで、実際にのこぎりを使って枝を切りました。
慣れない道具を使う作業でしたが、安全に気を付けながら、一本一本丁寧に枝打ちに取り組みました。森を守るためには、植えるだけでなく、その後の手入れを続けていくことが大切であることを学びました。
今回の活動を通して、蔵王の自然に直接触れながら、森林を守る活動の意義や、長年大切にしてきた自然環境への思いを学ぶことができました。今後も地域の皆様とのつながりを大切にしながら、自然環境の保全や地域に根ざした活動に取り組んでいきます。