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伝統と想いを絶やすな!(2020年全校田植)

日本最古の農業高校。毎年、欠かすことなく全校田植えを行ってきました。東日本大震災が起きた年でも1年生が加美農業高校で田植えを行い、その想いを絶やすことは無かったのです。しかし、今年の新型コロナは生徒の登校すらも許さず、初の中止という選択が私たちの脳裏をよぎりました。

「このままでいいのか?」

「伝統を絶やしていいのか?」

作物部門の佐藤淳先生の発案から生徒達の想い、卒業生が紡いできた伝統を守りたいという気持ちから先生達で田植えを行ったのです。

5月21日(木)午後1時30分。

多くの先生が賛同し、マスクをつけて田んぼに集まって頂きました。その数70名。農業教科の先生はもちろん、普通教科の先生、寮の先生、養護教諭、スクールカウンセラーの先生、事務室の先生、多くの職員が仕事の枠を超えて参加してくれたのです。

この日の気温はなんと10℃以下。そこにいるだけでも震えるような寒さの中、裸足になって水の張った水田に足を入れます。

「寒い!」「冷たい!」

そんな中

「生徒の想いをこの田植えに込めましょう」

という校長先生の言葉にみんなで一つになりました。

全員が中腰になり、一斉に苗が植えられ始めました。

先生達の想いを一声ずつかけながら、少しずつ、そして着実に、田植えは進んでいったのです。

途中、先生達の応援が入ります。

「秋の実りを楽しみに、うえろー」
「生徒達と食べる日を楽しみに、うえろー」
「校歌を歌いながら、うえろー」

 

約1時間ほど、先生達は丁寧に植え続け今年の全校田植えは終わりました。

生徒は参加できませんでしたが、全校田植えの伝統と歴史を守ることができたのです。

来年は皆さんと一緒に田植えができることを思い描きながら、泥だらけの手足と笑顔で皆さん校舎に戻って行きました。その顔は疲れよりも達成感に満ちあふれていたようです。