2021年1月の記事一覧
農業機械科長の戸村裕太先生にも聞いてみた!
Q1農業機械科とはどんな学科ですか?
農業機械科では物作りに必要な基礎知識や技術を身につけ、実際に工具や工作機械を使用して形あるものを制作します。その他にトラクターと呼ばれる農業機械の整備や運転についても学びます。ガソリンエンジンやディーゼルエンジンの分解・組立の実習もあるので、自動車関係に就職を希望する生徒に対しても基礎的知識や技術が習得できます。
旋盤実習では材料を切削してネジや部品を製作します。溶接実習ではアーク溶接、ガス溶接で、ペン立てや写真立てなどを製作します。出前授業で企業の方に来ていただきガス管の溶接技術を学びます。CAD実習ではコンピューターを使用して図面を作ることができます。その図面はネジ、歯車等の物作りの基本なので、作る前に必ず作成してから加工を始めます。二次元の図面と立体的な三次元の形状を全員が習得できることを目標にしているので、生徒はみんな必ずできるようになります。
1年生では旋盤、溶接、ガソリンエンジンの分解・組み立て、塵取りの製作です。
2年生では旋盤、溶接、ディーゼルエンジンの分解・組み立て、テスターの製作です。
3年生では手動のジャッキを制作しています。CADとトラクターの整備・操作も学びます。また、課題研究では「物作り班」、「整備班」、「電気電子班」、「植物工場班」の4班編成で分かれ、自分達の課題に合わせて研究をしていきます。最終的に農業機械科の課題研究発表会で後輩に向けて1年間集大成を発表します。
農業機械科の魅力は自分の手で作り上げることが一番楽しいと思います。また、ガス溶接、アーク溶接、フォークリフト、玉掛け、小型移動式クレーン、計算技術検定、危険物、ボイラー等の資格取得も可能なので就職に有利です。
授業では大きなケガに繋がる工作機械を使った実習もあるためにミスが許されません。失明、骨折、切断、火傷の危険性があります。もちろん、過去にそんな事故を起こしたことはありませんが、生徒を守るためにも私達の話をしっかり聞いて授業で実践できる教育を目指しています。安全教育に一番の趣をおいているということですね。
写真:熱い想いで農業機械科のことを教えてくれた戸村先生。
Q2:どんな人に受験してもらいたいですか?
物作りや整備に興味があってそれを将来の職業と考えている人は受験して欲しいですね。自動車整備を目指す人もいれば、農業機械整備に携わる生徒も沢山います。
学科では最後まで諦めずにやり通せることを大事にしています。中学時代に諦め癖ある人でもここにくれば変わることができますよ。体験したことがないことを実習できるので、新たな目標を見るけることができると思います。
農業機械科では農業に関する授業は1年生のみです。2年生から農業科目は無く、それを知った上で物作り、整備、農業機械について学習していくというカリキュラムになっています。
受験のアドバイスとしては面接では農業機械科で取得できる資格や、実習内容は言えるようにして欲しいです。農業機械科は特に理数系の教科が必要になりますので、苦手であると入学してからも苦労しますよ。基礎学力はつけておいた方がいいと思います。自分がこれから学ぶ授業の内容くらいは知った上で受験に取り組んで欲しいですね。
学科では色々な生徒とペアを組んで実習をするのでコミュニケーション力がつきます。時間を守る、物を大切にする、挨拶、礼儀というのも「物作り」をする上で必ず身につけさせます。機械関係の職場では整理、整頓、清掃、清潔、躾(しつけ)の5Sをベースにしています。5Sを徹底することで良い作品や、安全面の強化にも繋がるので本校でも大事にしています。
また、報告、連絡、相談を徹底しています。学科では「物作りは人づくり」と生徒に伝えているので、技術も重要ですが、人間性を伸ばすことは重視しています。皆さんが未経験者なので基本的なことから教えていくので、今まで興味が無かった生徒でもしっかり身につくので安心して受験してください。
写真:農業機械科の5Sを授業で生徒に伝える戸村先生。
農業科長の今野博章先生にも聞いてみた!
Q1:農業科とはどんな学科ですか?
作物学と畜産学と学ぶことができる学科です。作物では10種類の品種を作り、ICTを活用したスマート農業も取り入れています。
畜産では乳牛、和牛、鶏、豚を飼育し、大中小の飼育を学ぶことができます。二つの部門とも生物の命を感じながら学習できることが一番の魅力だと思います。
私は畜産の担当です。この部門では新しい命の誕生に立ち会うことができます。親はとても苦しんで出産するので、誕生した瞬間は「感動」です。生まれたばかりの仔牛はミルクを飲むことができません。生徒が手を添えて優しく飲ませてあげることで命を繋ぐことができるのです。
学校で飼育する生き物は全て「経済動物」といいます。これは牛乳、卵、肉等の食糧生産のために人間が供するための動物を指します。それに対して皆さんが飼っているペットは「愛玩動物」になります。癒しを与えてくれるため伴侶動物とも言われていますね。学校は「経済動物」のため牛乳が搾れなくなれば、可愛くても屠畜して肉にしなくてはならないのです。時には難産で親牛や子牛が命を落とすことだってあります。それでも、皆さんには愛情を持って飼育して欲しいと考えています。愛情を注ぎすぎると、お別れの時にとても悲しくなりますが、だからこそ普段の実習を一生懸命頑張れます。愛情を注げば乳牛は牛乳が出し、豚は肉質が良くなり人間に恩恵をもたらしてくれます。動物達と学ぶことができる学科ですので興味ある方は是非きてください。
写真:農業科について熱く語る今野先生。
Q2:どんな人に受験してもらいたいですか?
高校で学んだことを活かせる所に進みたいと思う人に受験して欲しいです。できれば畜産を広げてくれるような人材がいいですが、もちろん「動物好き」という方も向いていると思います。人間にとって食べることは基本だからこそ、その産業に携わりたいと興味を持っている人であれば誰でも一生懸命に教えます。
ほとんどは農業未経験者だと思いますが、種を撒き、育て、収穫し、食すことが生活の根幹だと思うので、それを体験できる学科です。ほとんどの生徒に対して「感動」する学びを提供するので動物やお米が好きな生徒は受験して欲しいですね。
受験のアドバイスとしては基礎学力をしっかり身につけましょう。農業だけじゃなくほとんどの職業で最低限の学力が必要になります。今の勉強が将来の自分の成長に繋がっているはずです。
面接では宮農で何をやりたいのか、何を学びたいのか、将来どうなりたちのかのビジョンを明確しているといいと思います。面接はハッキリと自分の意見を言えるようにしてください。緊張をしていると思いますが頑張ってください。
写真:明るく授業を行う今野先生。
2年1組 農業科 若松 彩唯華(わかまつ あいか)さんに聞いてみた!
Q1:何故、宮農を選んだの?
初めから「この学校しかない」と思っていました。運命の学校なんです。中学1年生の頃から宮農に入学したいとずっと夢みてきました。
農業に興味が出たのは親戚の酪農家へ遊びに行った時でした。小さいころから牛に触れあう生活が当たり前だったんです。動物全般が可愛くてしかたありませんが、その中でも牛が一番好きでした。高校に入学したら自分の手で牛を育てみたいと思いこの学校を選びました。
2年生になってからは畜産専攻の「牛部門」を選びました。受験の時は面接で「酪農家になりたい」って言ったんですよね。今は将来の夢のために頑張って勉強してます。
生まれたての子牛は小さくてとても可愛いんですよ。上手くミルクが飲めないから哺乳瓶で顔を押さえながら飲ませると、目を輝かせて一心不乱で飲み続ける姿が大好きです。
学校には「牛部」があるので入部しています。ここでは搾乳、除糞、給餌、洗浄、哺乳を毎日行っています。それ以外にも共進会という牛の美人コンテストで全国を目指しているので、牛を引く練習もしています。動物好きには大満足の学校なので来てください。
あと、自分が絞った牛乳で地元ジェラートショットを連携して「もう蜜」っていうアイスの開発もしています。自分の作った商品がスーパーやコンビニでも販売されるなんて夢のようです。
写真:地元企業の方と新たなジェラートを作るために、企画書を作り説明しています。
Q2:畜産部門を選んだ理由は?
とにかく毎日が楽しいからです。動物と触れ合えるのは私にとって幸せでしかありません。仔牛、子豚、ひよこを大きくなるまで育てるので普通高校では絶対に味わえず、ここでしか出来ない体験が出来ます。日に日に大きくなっていく動物にも愛着が湧くので、学校に行くことが楽しみになりました。
畜産部門では牛、豚、鶏の一般管理や品種、繁殖方法、体の中の構造を学びます。全ての動物の誕生から屠畜に至るまでの過程を知ることができることが魅力です。
たまに、血を見たり、病気や出産事故によって死ぬところを見ることもあります。2年生になると鶏の首を切って屠畜して、血抜きをして、毛をむしり、体の中の構造までも学びました。可愛そうという気持ちもありますが、好奇心の方が大きかったので貴重な授業でした。また、雄豚の去勢なども行うので命と隣り合わせの部門です。だからこそ、命の大切さを学び、食べ物のありがたみを感じることができます。
一般管理は除糞を毎日しなくてはなりません。牛の糞だけでも毎日1t以上出るので常に綺麗にします。畜産を選ぶ生徒はみんな動物好きが多いので除糞を嫌だと思う人はいなですよ。
学校にいる生き物は愛玩動物(ペット)では無く、経済動物(お金になる)なので、そこの切り替え方が身に付きますね。
写真:共進会の練習。牛に愛情を注ぎながら歩く練習をする。
Q3:受験生へのアドバイス
農業に興味が無くても楽しめると思いますよ。体力のある人、やる気、根性がある人が入学して欲しいですね。動物を相手にするということは、暑い夏も寒い冬も毎日同じように管理が求められます。不平不満を言う人が近くにいればみんな嫌な気持ちになります。どうせやるなら楽しく、笑顔で実習をした方がいいに決まっているので、やる気がある人は絶対に有利だと思います。
自分が今まで頑張ってきた部活動や勉強に自信をもって最高の自分を表現できるようにしてください。そうすれば合格をすると思います。
面接では第一印象がとても大切です。通りすがる先生たちにしっかり挨拶することは重要だと思います。自分のアピールポイントや強みをしっかり理解して言えるようになるといいと思います。あとは入りたいと思う気持ちを全力で面接官にぶつけてください。皆さんのことを待ってます。
写真:出産したばかりの和牛
1年5組 食品化学科 小田島 鈴(おだしま すず)さんと朝日 実緒(あさひ みお)さんに聞いてみた!
Q1:何故、宮農に入ったのですか?
○小田島 鈴さん
私の将来の夢がショコラティエなので食を学び、加工のことを知れると思い入学を決意しました。普段から私が買っている物が、どのように作られ、どういう経路をたどって店頭に並ぶのか興味があったんです。食品化学科では「食品流通」や「食品加工」の授業があったので宮農を選びました。
また、食生活アドバイザー、衛生士、菓子検定等の資格も頑張れば取得することができますし、他の学科の農業関係の資格も取れるのが魅力です。受けるか受けないかは自分次第ですけど、やる気があればどんなことにも挑戦できます。
○朝日 実緒さん
将来の夢は調理師になることです。料理を作る時に自分でも野菜を作り、実際に食材に触れることが大事なんじゃないかと思いました。そんな中で、野菜や豚など食材が豊富な農業高校に入り、どのような育て方をしているのかが知りたかったから入学を決めました。
例えばハッピーターンはとても美味しいですよね。調理は食べ物を美味しくしますが、違う目線からみれば加工も美味しくする技術だと思うんです。調理師として食材はもちろん、加工品も扱うはずです。食品化学科では加工を深く学べるので、美味しいものを作るという意味では同じ考え方です。だからこそ、食品化学科で幅広い食に関わる知識が必要だと考えています。
写真:左が小田島 鈴さん、右が朝日 実緒さん
Q2:食品化学ではどんことをするの?
○小田島 鈴さん
1年生では食品製造という授業では加工実習の衛生面やアミノ酸等の栄養学などの基礎的なことを学びます。2年生になると食品化学と食品流通を学びます。そこでは化学物質を使ったものや、食品流通では世の中の食がどのように流通するか学べます。加工実習ではジャム、ジュース、ケチャップ、燻製、ソース、パン、味噌、缶詰等加工によって食品の賞味期限を延ばし美味しくする技術も学べます。
楽しかった授業が「出汁の実験」です。「煮干し」や「干しシイタケ」から出汁を抽出して、化学調味料と一緒に入れると旨味や甘味が増すんです。出汁は旨味成分のおかげで塩分が少なくてもしっかりと味を感じることができてとても感動しました。
新校舎が出来たばかりなので、施設や実習機械が全て新品です。とても綺麗なのでそれだけでもテンションがあがると思いますよ。
○朝日 実緒さん
マーマーレードを作ったんですが、手作業で皮を剥く時に手袋が破損して異物が混入してしまったんです。人の口に入るものだからこそ全て破棄しました。もったいないと思うかもしれませんが、こうやって食の安全が守られているんだということを学びました。
加工室に入るときは爪を切ったかどうかを確認して、帽子をかぶり髪が出ないようにします。また、手の傷があると黄色ブドウ球菌が混入するのでそれも確認します。髪の毛や埃が入らないように、全身を粘着テープで綺麗にしてから、エアシャワー(強い空気を体に当ててゴミを吹き飛ばす機械)をしてから加工室に入れます。入ってからも手をしっかり洗って、水を切ってから紫外線を当てて滅菌します。その後に更にアルコール消毒します。それだけ気を使うので雑な人やルールを守れない人は向いてないと思います。
写真:加工実習(マーマレード)
Q3、宮農に入る為にアドバイス
面接は頑張って欲しいです。志望の動機を的確に伝えられるかは今後の学校生活の中でも必要だからです。志望の動機の他にも「学校について何か知っている事はありますか?」とか聞かれたので、ちゃんと学科や学校のことを調べた方がいいと思います。また「将来はどうしたいのか?」というような卒業後のことも聞かれた人もいたので、先を見据えて将来を語れるようにして面接に挑んでください。情報をしっかり探して、自分の力に変えてください。5教科については、基礎問題と応用問題が出てきます。そのため、基礎が出来なければ絶対に応用は解けません。必ず点数を取らせるための基礎問題も出るので、確実に点数を取って欲しいと思います。過去問を調べて準備を進めてくださいね。応援してます。
写真:(株)カゴメと連携した販売実習。自分たちでトマトを育て収穫して、加工・販売まで学べる。
2年3組 園芸科 三浦 光晴(みうら みつはる)さんに聞いてみた!
Q1:何故、宮農に入ったの?
実家がセリの専業農家なんです。他にも古代米、大根やトマトを育てているので将来は大学に進学して、色々な世界の見分を広げて父のような農家になりたいと思い農業高校を選択しました。宮農は家からも近いし新校舎として出来たばかりなので、それも魅力でしたね(笑)。
入学してから「農業と環境」の授業を受けた時は本当に基礎から教えてもらいました。私は家でも農業をやっているので大抵のことは知っているつもりでしたが、授業では知らないことが沢山あって面白かったです。また、学校では沢山の資格を受験出来るので積極的に受験しようと思っています。漢検や数検、英検の他にフォークリフト、玉掛け等の資格取得できることからキャリアップに繋がります。入学した時は知り合いが誰もいなかったのですが、先生方も相談にのってくれますし、問題が起きてもすぐに動いてくれるので頼りになって助かっています。
写真:三浦光晴さん
Q2:園芸科の生物工学専攻を選んだ理由は?
園芸科に入って生物工学を専攻しました。その理由は父が主に野菜作りをしていたので、「自分と同じ道を歩むのではなく、他の事を学んできなさい」と言われて生物工学を選びました。草花とかもあるのですが妹がやると思ったので、私は他の部門を専攻しました。
1年生の時に様々な部門を経験するの機会があり、授業で培地を作り、それが楽しくて生物工学を選びました。元々、細かい作業が好きだったので自分にあっていたと思います。私は実習が遅いのですが、先生方がこまめに優しくサポートしてくれたので安心でした。
2年生になって専門的に生物工学を学ぶようになってからは、桜とイチゴをメインに研究と授業を受けています。桜は低温処理をしてどれくらい生育が違うかを研究しています。イチゴは品種を掛け合わせて、耐塩性のある新品種のイチゴを作ろうと進めています。先生に質問しても自分が求めている以上の答えが返ってくるのでとても助かっています。
生物工学というと白衣を着て実験室にいるイメージですが、ずっと部屋にこもるわけではないです。桜の土壌改良のために外で土を掘ったり、排水性を良くするために、石を入れて水の通り道を作っています。予想より外実習も多いですよ(笑)。あと、沿岸部に行って千年希望の丘で桜を植える活動もしていますよ。
写真:土の中に石を入れて排水性を向上させた桜
Q3:受験生へアドバイス
農業科や園芸科であれば農業に何かしら興味を持っている人が来た方がいいと思います。もちろん、生活科や食品化学科、農業機械化もあるので農業に興味が無くても学ぶことができますよ。
1年生は基礎的なことを学びますが、2・3年生になると企業の方も来てくれて専門的なことが学べるようになります。だから、どんな人でも受け入れてくれると思います。
昔はあまりいい噂がありませんでしたが、今の学校はとても生徒達が落ち着いていて良い学校だと思います。このままの方がいいので素行の悪い人は来て欲しくないですね(笑)。もし、化粧とか制服を着崩したい人がいるならば、勉強して私服の学校を選んでください。初めから校則を破る気のある人は宮農に入学しても、先生方に注意されるだけだと思いますよ。
面接練習では自分が学校で何をやりたいかを明確にして言えるようにしてください。5教科の勉強は基礎勉強を重点的にやったほうがいいと思います。皆さん頑張ってください!応援しています。
写真:品種改良中のイチゴ